FXトレードするとき、さまざまな銘柄(通貨ペア)から選ぶことになります。
FXは手軽に始められる金融商品ではありますが、通貨ペアによってハイリスクハイリターンな仕組みになることも…。
本来ならある程度勉強してからチャレンジしたほうがいい投資ですが、実際トレードする中で覚えていく実践タイプの方も多いのでは?
私自身もマニュアルを読むのが大嫌いですので、とりあえずFX口座にお金入れてトレードした記憶があります。
ですが、FXはそれで勝てるほど甘くありません。
そこで、ここではFXの通貨ペアについて徹底解説。
初心者がどの通貨ペアを選んだらいいのか?おすすめも紹介します。
FX通貨ペアの基礎知識

FXの通貨ペアとは?
FXは2国間の法定通貨(日本円や米ドルなど)の売買による価格差を利用して稼ぐ仕組みです。
そして、2つの法定通貨を1つにした銘柄(ドル円ならUSDJPY)にしたものを通貨ペアと呼びます。
そのため、日本円だけで売買する、米ドルだけで売買するといったトレード方法ではありません。
通貨ペアの前後の関係
2国の通貨が1つになっている通貨ペアは、基軸通貨と決済通貨に分けられます。
USDJPY(米ドル/日本円)であれば、前にある米ドル(USD)が基軸通貨、後ろ側の日本円(JPY)が決済通貨です。
たとえば、1ドル=100円の時にUSDJPYを買い注文するとき、基軸通貨を決済通貨で買う(100円)ことになります。
売り注文するときは、金融市場に対して100円で売りに出します。
売買は決済通貨側が基準です。
通貨ペアの種類と読み方

法定通貨は世界各国で発行されていますが、FXトレードできるものは口座開設した業者で扱っているものだけとなります。
たとえば「中国元」「ロシアルーブル」などはトレードできない業者が多いです。
そんな通貨ペアにはメジャー・マイナーの2種類に分けられます。
(業者によってさらにマイナーな「エキゾチック」もあり)
メジャー通貨
- 米ドル(USD)
- ユーロ(EUR)
- 日本円(JPY)
- 英国ポンド(GBP)
- 豪ドル(AUD)
- スイスフラン(CHF)
- カナダドル(CAD)
下3種類は業者によって分類が異なることもありますが、これらの取引量が多いものはメジャー通貨に分類されます。
取引量が多いため、割と価格変動の安定性が高い傾向です。
また、取引量が多いことからスプレッド(取引時の手数料的もの)のコストが安くなる傾向もあります。
FXトレードで稼ぐには、自分なりの分析手法の確立が必須ですので、再現性のあるチャートパターンを見つける上でもメジャー通貨はおすすめです。
マイナー通貨
- トルコリラ(TRY)
- 南アフリカランド(ZAR)
- ブラジルレアル(BRL)
- メキシコペソ(MXN)
- 人民元(CNH)
- 香港ドル(HKD)
- シンガポールドル(SGD)
- ロシアルーブル(RUB)
など
取引量が少ないため、大口トレーダーの注文が入れば急激な価格変動が起こりやすい傾向があります。
運が良ければ大きく稼げますが、それではただのギャンブルになるためおすすめしません。
なお、FXでは1日1回スワップという通貨ペア間の金利差が注文したポジションに加算されるのですが、マイナー通貨はこのスワップ金額が大きい傾向があります。
上の一覧の中では南アフリカランド(ZAR)がおすすめです。
人民元はいまや世界2位の経済大国「中国」の法定通貨だけにメジャーで良さそうに思う方もいるかもしれません。
ですが、これまでの実績がまだ少なく信頼性の面でメジャー扱いはまだまだといったところでしょう。
中国当局の動きしだいでガラっと状況が変わってしまう特殊な事情もあり不安定であることも影響するのかマイナーのままです。
ここまで紹介してきたマイナー通貨は、FX初心者の方にはおすすめしません。
なお、メジャー・マイナーのほかにストレートとクロス通貨という分け方もあります。
ストレート通貨
これは米ドル(USD)と別の法定通貨のペアのことです。
ドルストレートとも呼ばれます。
- USDJPY
- EURUSD
- CHFUSD
- CADUSD
- AUDUSD
- GBPUSD
など
このように米ドル(USD)が含まれていればドルストレートです。
クロス円
- EURJPY
- GBPJPY
- CHFJPY
など
これら銘柄は「クロス円」と呼ばれます。
この場合は日本円(JPY)が含まれている通貨ペアのことになります。
なお、「USDJPY(米ドル日本円)」だけはドルストレートのためクロス円には含まれません。
クロス通貨
米ドルが含まれていないペアをクロス通貨といいます。
- GBPJPY
- CHFJPY
- EURGBP
- AUDNZD
など
何がクロスなのか?ですが、ドルストレートとの違いは米ドルが間に入って売買されているため。
たとえば、英ポンド日本円(GBPJPY)なら、英ポンドと日本円を直接売買しているわけではありません。
内部では一旦日本円で米ドルを買い、米ドルで英ポンドを買っています。
世界で一番強く中心的な存在の法定通貨「米ドル」が間に入っているわけですね。
FX通貨ペアを選ぶ時のポイント

FXトレード初心者の方は、次のポイントに注目して選ぶことをおすすめします。
- 取引量が多い
- スプレッドが狭い(手数料安い)
- 適度なボラティリティ(変動率)がある
1つ1つ解説していきます。
取引量が多い
前述したメジャー通貨は世界中で取引されています。
それぞれの発行国の経済規模が大きく、貿易も活発で動くお金の量が違ってきます。
とくに取引量が多いのは米ドル(USD)、ユーロ(EUR)、日本円(JPY)です。
米ドルは地球経済の中心的存在ですので取引量トップ。
ユーロもヨーロッパの多くの国で使われていることから、米ドルに次いで取引量が多いです。
そして日本円が続いています。
初心者の方は、まずこれらの取引量が多く、価格変動が安定している通貨ペアを中心にトレードしていくことをおすすめします。
スプレッドが狭い(手数料安い)
FX業者が独自設定している取引手数料の1つ「スプレッド」。
FXでは通貨ペアによってスプレッド(売りと買いの価格差=FX業者への手数料)が発生します。
このコストが安いほど、トレードで勝てる可能性も高くなります。
スプレッドは上の項目で紹介した取引量が多いほど狭くなる(手数料が安くなる)傾向があるため、選ぶときの1つの選考基準として見ておきたい部分です。
なお、スプレッドはFX業者によってもかなり違ってきます。
私が普段使っているXMトレーディングはややスプレッドが広めの海外FX業者です。
(口座タイプにもよります)
信頼性や使いやすさなど、それ以外の部分で魅力が強いため使っていますが、スプレッドだけにこだわるのであれば別のFX業者をおすすめします。
なお、取引量が多いメジャー通貨のスプレッドは1~2pips程度が多いです。
適度なボラティリティ(変動率)がある
先に紹介した取引量が少な目のマイナー通貨は値動きが鈍い傾向です。
数日~数か月など長い期間でFXトレードする場合は問題ありませんが、超短期売買のスキャルピング、短期売買のデイトレードメインの方は値動きがなければ思うように稼げません。
また、注文してから相場が逆行し、しばらく待てばまた戻るだろうと考えポジションをキープした状態でいるとき、じりじりと待たされることになるでしょう。
かなり精神的にストレスがたまりますし、戻らなかったら目も当てられません。
スワップポイントで稼ぐことを目的にボラリティ少なめのマイナー通貨をあえて選ぶ、などの事情がない場合は取引量の多いメジャー通貨を選んでトレードすることをおすすめします。
ここまでの解説で、初心者の方でもこれからトレードする通貨ペアがある程度決まったのではないかと思います。
次からは、初心者におすすめの通貨ペアとその特徴を紹介していきます。
FX初心者ならこの通貨ペア!おすすめは?

FX初心者におすすめの通貨ペアは次のとおりです。
- ドル円(USDJPY)
- ユーロ円(EURJPY)
- 豪ドル円(AUDJPY)
- ユーロドル(EURUSD)
日本人ならイチ推しの「ドル円(USDJPY)」
もっとも日本人に身近な銘柄は、何と言っても「ドル円(USDJPY)」です。
USDJPYは、日本の通貨である日本円とアメリカドルの交換レートで取引するものなのは言うまでもないでしょう。
価格変動に影響のある経済ニュースは、テレビやネットニュースで頻繁に目に入ってきます。
経済ニュースでは触れられない日はないほど重要なもので、「円高」「円安」のフレーズはどこかできいているはず。
それでも全く意識しなければ記憶に残らないと思いますが、FXトレードしていれば自然と意識的に情報を取り入れるようになるでしょう。
また、取引量も多く安定性が高い点は大きな魅力です。
情報と取引量の多さから、比較的安全に運用できる通貨ペアと言えます。
FX自動売買ツールでもドル円を扱うツールは多いため、選択肢も多く有利です。
日本人向けで取引量も多い「ユーロ円(EURJPY)」
ユーロ円(EURJPY)もおすすめです。
EUの共通通貨であるユーロ(EUR)も、貿易の決済で利用されることが多いため高い流動性を持っています。
日本人にとっての重要性はアメリカドルには劣るものの、取引量も多く値動きも安定感があります。
以前までドル円(USDJPY)に比べて値動きが若干大きかったのですが、ここ数年ではドル円の変動幅の方が激しくなりました。
いまなら、ユーロ円のほうがリスクは低いと感じます。
(感じ方はトレーダーによります)
こちらもFX初心者の方におすすめです。
スワップも狙える「豪ドル円(AUDJPY)」
日本との貿易も活発なオーストラリアの豪ドルと日本円のペア「豪ドル円(AUDJPY)」もおすすめです。
豪ドル円は、スワップポイントも狙える銘柄です。
使っている業者でスワップがプラスになっているなら、長期保有による稼ぎも狙えます。
スワップポイントは注文したポジションを保有している限り毎日積み上げられていく利益ですので、この点に魅力に感じて豪ドル円を保有しているトレーダーもいます。
取引量が多い「ユーロドル(EURUSD)」
日本円を含まない通貨ペアでおすすめは「ユーロドル(EURUSD)」です。
アメリカドルとEUのユーロを組み合わせたもっとも取引量の多い通貨ペアで、日本円を含む銘柄とは異なる動き方をしています。
複数のクロス円銘柄でトレードしている場合、似たような値動きになることが多いです。
すると、相場が逆行してしまえばすべてのクロス円銘柄でハマってしまう可能性もあるでしょう。
そのため、複数の銘柄を同時トレードするほど、リスク分散できるメリットがあります。
日本では円や米ドル関連のニュースほど報じられていない、意識的に情報を取に行くことは必要になるでしょう。
なお、ユーロドルを扱うFX自動売買ツールもありますが、ドル円に比べると少なめです。
この中ならどれがおすすめ?
日本在住者ならドル円をおすすめします。
慣れるまではドル円1本でもまったく問題ありません。
取引量が多く、需要と供給のバランスが安定しているためトレードしやすい傾向があります。
このほかのペアはドル円より手数料が高くなっていることが多いですし、特別な目的がなければ選ぶメリットもないでしょう。
ドル円以外を扱いたい方は、ここで取り上げた主要国の通貨ペアから始めてみましょう。
すべての通貨に共通して言えるのは、主要国通貨の方が安定性が高いということです。
つづいて、トレードスタイルごとにおすすめの通貨ペアを紹介していきます。
FXトレードスタイル別のおすすめ通貨ペア

FX通貨ペアは数多くありますが、利用するFX業者によって数が異なります。
そして、業者によって銘柄ごとに手数料コストも異なるため、すべての業者で共通のおすすめ銘柄になるとは限りません。
ですが、細かな違いは一旦置いておき、ここでは次のトレードスタイルごとにおすすめの通貨ペアをまとめました。
- スキャルピング向け
- デイトレード向け
- スイングトレード向け
- ポジショントレード向け
- スワップポイント狙い向け
- FX自動売買ツール向け
スキャルピング向けのおすすめ通貨ペア
GBP(英ポンド)とXAU(金/GOLD)を含んだ銘柄をおすすめします。
この2つはボラリティが非常に高い特徴があるため、超短時間に売買を繰り替えずスキャルピングに最適です。
なお、数秒で大きく変動することも多いため、素早く損切りの判断ができない初心者の方にはおすすめしません。
デイトレード向けのおすすめ通貨ペア
スキャルピングより少し期間が長いデイトレードは、数分~数時間単位で売買し、基本的に1日以内に清算するスタイルです。
デイトレードをされる方には、このページで紹介したメジャー通貨をおすすめします。
また、スキャルピングの項目で紹介したGBP(英ポンド)やゴールド銘柄もおすすめですが、初心者の方にはおすすめしません。
スイングトレード向けのおすすめ通貨ペア
1日以上~数週間程度の間隔で売買するスイングトレードでは、メジャー通貨をおすすめします。
また、比較的長期保有するため、スワップポイントの多い銘柄もおすすめです。
ポジショントレード向けのおすすめ通貨ペア
数か月か年単位でポジションを保有するポジショントレードは、スワップポイント狙いにおすすめです。
また、大きな変動があっても資金がショートしないだけの潤沢なお金を準備できるのであれば、どの通貨ペアでも問題ありません。
スワップポイント狙い向けのおすすめ通貨ペア
スワップポイントが多く付与されるZARUSD(南アフリカランド/米ドル)、USDTRY(米ドル/トルコリラ)などは比較的スワップポイントが多い傾向です。
その時々の世界情勢によって変動するため常におすすめできるわけではありませんが、スワップで稼ぐトレーダーに人気となっています。
FX自動売買ツール向けのおすすめ通貨ペア
自分でツールを作成するのでなければ、リリースされているFX自動売買ツールから選ぶことになります。
自動売買ツールにはさまざまなロジックがあり、スキャルピングスタイルならゴールドや英ポンド(GBP)などおすすめも変わってきます。
ただし、ツールは最初からトレードする通貨ペアが決まっていることが多いため、ユーザー側で選べない可能性が高いです。
自動売買ツールを選ぶ時は、バックテストの結果や、実際に稼働されているトレーダーの実績を見て選びましょう。
よって、通貨ペアで選ぶのではなく、実績から選ばれることをおすすめします。
稼ぎやすいFXのおすすめ通貨ペアは?
- GBPUSD(英ポンド/米ドル)
- GBPJPY
- XAUUSD(GOLD)
これらボラリティ(値動き)が激しい通貨ペアが最適です。
中でもイギリスポンド(GBP)を含んだ通貨ペアは別名殺人通貨とも呼ばれるボラリティがあります。
これまで数多くのFXトレーダーたちの資金を喪失させ、中には追証によっては破産させてきた通貨ペアです。
破産した人の一部は人生をあきらめてしまう残念な選択を選んでしまうこともあり、そんな物騒な呼び名になっています。
とはいえ、トレードの勝率が5割を大きく超えているのであれば問題なく稼げるでしょう。
いくらボラリティが高いとはいえ、資金を多めに用意して小さなロットでトレードしていればリスクを抑えられます。
FXでは資金に見合った注文ロット数でトレードしていくことが何より大事です。
初心者の方ほど稼ぎたい気持ちが強すぎて高ロットエントリーしがちですが、自分の感情をコントロールする術を身につけることが最初のハードルと言えるでしょう。
FX業者が扱う通貨ペア数一覧

国内FX業者の通貨ペア数を比較
※記事投稿時点のもの
- 155銘柄・・・サクソバンク証券
- 98銘柄・・・IG証券
- 71銘柄・・・OANDA証券
- 54銘柄・・・LION FX(ヒロセ通商)
- 41銘柄・・・MATRIX TRADER(JFX)
- 34銘柄・・・SBI FX(SBI証券)
- 33銘柄・・・みんなのFX(トレイダーズ証券)
- 33銘柄・・・LIGHT FX(トレイダーズ証券)
- 30銘柄・・・外貨ネクストネオ(外為どっとコム)
- 28銘柄・・・ゴールデンウェイ・ジャパン(FXTF)
- 26銘柄・・・外為オンライン
- 26銘柄・・・auカブコムFX
- 25銘柄・・・FXダイレクトプラス(セントラル短資FX)
- 24銘柄・・・アイネット証券
- 24銘柄・・・FXブロードネット
- 24銘柄・・・ひまわり証券
- 24銘柄・・・楽天証券
- 23銘柄・・・LINE FX
- 21銘柄・・・マネーパートナーズ
- 21銘柄・・・DMM FX
- 20銘柄・・・FXネオ(GMOクリック証券)
- 20銘柄・・・松井証券
- 20銘柄・・・トライオートFX(インヴァスト証券)
- 16銘柄・・・FX PLUS(マネックス証券)
海外FX業者の通貨ペア数を比較
※記事投稿時点のもの
- 119銘柄・・・Exness
- 61銘柄・・・AXIORY
- 60銘柄・・・TitanFX
- 60銘柄・・・ThreeTrader
- 57銘柄・・・XM
- 54銘柄・・・FXGT
- 53銘柄・・・HFM
- 52銘柄・・・BigBoss
ここではFXの通貨ペア数を掲載しておりますが、ゴールドなどの貴金属や仮想通貨銘柄なども含めればさらに増えます。
FX通貨ペアに関するQ&A
まとめ
FX通貨ペアの特徴やおすすめを紹介しました。
初心者の方は、取引量が大きく、ボラリティの小さ目な通貨ペアから始めることをおすすめします。
ある程度経験を積み重ね、自分なりのトレードスタイルが確立できてから、相性のいい通貨ペアを探していきましょう。