トレンド(trend)とは「傾向・トレンド・動向・動き・趨勢・潮流」といった意味です。
FXトレードにおいては、為替チャートの過去と現在の状況から未来を予測するため、トレンドをつかむことで勝率が上がると言えるでしょう。
そのため、チャート上に直線ラインを引いて予測していきます。
そこで、FXのチャート分析においてどんなトレンドラインが引けるのか、種類や引き方、分析ポイントをまとめました。
FXチャートのトレンドラインを引く意味

トレンドラインとは?
FXトレードするときにチャート上に引く斜めのライン全般を言います。
為替の価格をグラフにしたもの
水平に引いてあるラインは含めません。
ですが、チャート上のラインはすべて含めるトレーダーもいることでしょう。
水平ラインでトレンド(流行や方向性)は確認できませんが、ものごとが進んでいる方向を示すことをトレンドというなら、停滞を示すこともある種のトレンドと言えますからね。
トレンドラインを引く意味・価値は?

引き方を紹介する前に、なぜFXチャートにトレンドラインを引くのでしょうか。
それは相場の流れを予測してエントリーポイントを探るためです。
もっとざっくり言えばFXで稼ぐためです。
でも、そもそもトレンドラインに意味があるのか。
ネット上では意味がないなんて声も見かけますが、あると断言します。
正しい引き方をすれば為替チャートの流れが見えてきます。
わかりやすいところに引けば、世界中にいるほかのトレーダー達もそのラインを引いて判断する可能性が高くなります。
結果、ライン付近での売買が活発化されて動きを予測しやすくなります。
もちろん100%妄信するのは危険ですが、何も分析せずギャンブルのようにトレードしていては勝率5割を超えることは難しいでしょう。
勝つためには、まず勝率5割以上にもっていかなければいけません。
トレンドラインでFXの勝率が上がる理由

ほかのトレーダーの動きを知ることができる=勝率アップに貢献できると言えます。
日本のFXトレーダーの勝率は?
FXは勝つ人ももちろんいますが、ほとんどのトレーダーが負ける投資です。
とはいえ、2018年に一般社団法人金融先物取引業協会が発表した調査データによると、6割以上が稼いだことがあるそうです。
(参照:外国為替証拠金取引の取引顧客における金融リテラシーに関する実態調査)
6割と聞くと自分でも稼げるのでは?と感じるかもしれませんね。
ですが、1000人だけを対象にしたアンケート結果ですし、いまでも稼ぎ続けている・通算で稼げていることと、一時的だけ稼いだことがある、では全く異なります。
見栄を張る方、良い結果が出たときだけを切り取って稼げたと回答する方もいることでしょう。
半数以上が勝てているなら、もっとFXに取り組んでいる方が多いはずですし、お金に困っていない方も多いでしょう。
9割は負けると言われる世界ですし、現実的には通算でマイナスになったトレーダーの方が多いのでは?と予想されます。
1億以上の資産を持つお金持ち・成功者の割合が全体の1~2%であるため、FX投資の勝ち組においても近い数値になるかもしれません。
負けているトレーダーが稼いでいるトレーダーを養っているような状態です。
そうなると、勝つためにはほかのトレーダーの考えを読む必要があります。
トレンドラインは多くのトレーダーが引いている
基本的なトレンドラインは多くのトレーダーが引きます。
中には、取引ツールのMT4/MT5に標準搭載されているインジケーター「移動平均線(MA)」や「RSI」などのメジャーな分析ツールだけでエントリーポイントを探っている方もいることでしょう。
でも、それ単体でトレードしているトレーダーが少数派なのは間違いないでしょう。
たいてい何かしらのトレンドラインを引いています。
(稼げていてラインを引かない方は経験から引かなくてもわかるレベルに達しているのでしょう)
そこから、ほかのトレーダーがどういうポイントで勝負を仕掛けるのか?を探るわけですね。
あとは過去チャートの検証なども含めて精度を上げつつ、勝率の高いエントリーポイントを探っていくことになるでしょう。
では、基本的なFXチャートのトレンドラインの引き方を解説していきます。
引いただけで勝てるわけではありませんが、まずは守破離の「守」である基本を抑えることから始めましょう!
取引ツールを使ったトレンドラインの引き方

ここでの解説には、取引ツールのメタトレーダー4(MT4)を利用していきます。
MT5やそのほかの取引ツールも同じ手順ですので参考にしてください。
パソコン版MT4を使ったトレンドラインの引き方
- MT4を起動する
- トレンドラインのアイコン「/」をクリック
(またはメニューから挿入→ライン→トレンドラインをクリック) - チャート上で起点をクリック&ドロップ
- ラインを結ぶもう1つのポイントをクリック
まずは取引ツールMT4を起動しましょう。
(またはメニューから挿入→ライン→トレンドラインをクリック)
MT4ウィンドウのメニューエリアにオブジェクトのアイコンが並んでいます。
その中の「/」マークをクリックしましょう。

または、メニューの「挿入」→「ライン」→「トレンドライン」からもできます。

線を引きたいチャート上で起点になるポイントでクリックしそのままマウスを押したままにしてください。
クリックしただけでは線は引けません。
一旦操作がリセットされてしまうため、もう一度トレンドラインアイコンをクリックし直してください。
起点をクリックしそのままドラッグしてもう1つのポイントまでマウスポインターを持っていきます。
その位置で話すと線が引けます。
スマホアプリ版MT4を利用したトレンドラインの引き方

- MT4アプリを起動する
- オブジェクトのアイコンをタップ
- トレンドラインアイコンをタップ
- チャート上でタップしオブジェクトを表示させる
- オブジェクトの片方の点を起点に合わせる
- 反対の点を2つ目のポイントに沿うようにラインを設置する
まずはMT4アプリを起動しましょう。
インストールがまだの方は、口座開設しているFX業者ホームページからダウンロードできます。

ページ上部に3つ並んでいるアイコンの3つ目(▲●■の図形が重なっているもの)をタップしてください。
するとFXチャート分析に使えるオブジェクトがいくつか表示されている画面が開きます。

並んでいるオブジェクトアイコンの中で1番左にある「/」をタップしましょう。

チャート上のどこかでタップすると上画像のようなトレンドラインオブジェクトが表示されます。

オブジェクトの左端の点をタッチしたまま、左上のある拡大画面を参考にトレンドラインの起点まで持っていきましょう。
近くで指を離せば自動的に距離の近いポイントに引っ付きます。

オブジェクトのもう片方の端にあるポイントをタッチして、起点からトレンドラインを引きたいポイントに合わせましょう。
上の画像ではチャートの外になっていますが、線の長さはチャートを拡大・縮小させながら修正していきます。
ちなみにオブジェクトの真ん中の点はオブジェクトそのものを移動するときに使います。
スマホアプリ版は起点部分が自動的にロウソク足にくっついてくれないため、少し使いにくくなっています。
ロウソク足のそばに持って行くと自動でヒゲ先やロウソク足の先端にくっついてくれるパソコン版での分析をおすすめします。
つづいてトレンドラインの種類を紹介していきます。
FXチャートのトレンドラインの種類

大きく分けると次の2つあります。
- 上昇トレンドライン(サポートライン)
- 下降トレンドライン(レジスタンスライン)
それぞれのチャート上での引き方や起点の見つけ方を見ていきましょう。
上昇トレンドライン(サポートライン)の引き方

- FXチャート上で目立つ安値を2つ見つける
- ラインのオブジェクトを選択
- 見つけた2つの安値を線で結ぶ
起点は?
チャートの縮尺にもよりますが、チャート1画面の中で下降してきてから上昇に転じた最安値ポイント(トレンド転換点)を起点にするのが基本です。
ただし基本というだけで次やその次の安値を起点にすることもあります。
「起点は絶対にここ!」と決めつけるのではなく、いかに意識されされているラインを引けるかどうか?が大事です。
起点をずらしてこのように引くこともできます。

最初は見栄えが悪くなっても良いため、引けるところにすべて引いてしまいましょう。
その中で、ほかのトレーダーに少しでも多く意識されているラインを探りましょう。
エントリーポイントは?
上昇トレンドに合わせて順張りするなら、ラインにタッチしたポイントでロング(買い)エントリーとなります。
逆張りするなら上昇トレンドラインを下にブレイクしたらトレンド終了と判断してショート(売り)エントリーです。
ただし、この1点だけでエントリーすることはおすすめしません。
移動平均線(MA)やエリオット波動、グランビルの法則、ほかの時間足の動きなど複合的にチェックしてエントリーポイントを模索しましょう。
高値切り上げラインの引き方

これでエントリーできるわけではありませんが、引くトレーダーもいますし、チャートの流れを読む上で効果は期待できます。
引き方は上昇トレンドラインと同じです。
ただし、上昇トレンドが成立しているラインではないため加点要素としては弱くなります。
下降トレンドライン(レジスタンスライン)の引き方

- FXチャート上で目立つ高値を2つ見つける
- ラインのオブジェクトを選択
- 見つけた2つの高値を線で結ぶ
起点は?
上昇トレンドラインとは逆に見えているチャートの1画面内で上昇から下降に転じた最高値を起点にします。
そこを基本にしつつ、その次の高値、次の次の高値を起点に引くこともあります。
より意識されているラインを見つけましょう。
なお、起点をずらしてこのように引ける分は引いてしまいましょう。

この画像で2本目のトレンドラインは、その後ブレイクしているものの何度か意識されているのがわかります。
世界中にいるFXトレーダーたちが、ここを意識して売り買いしていると言えるでしょう。
エントリーポイントは?
下降トレンドの流れに逆らわないよう順張りするなら、ラインにタッチしたポイントでショート(売り)エントリーします。
反対に逆張りするなら、下降トレンドラインを上にブレイクしたらトレンド終了と判断しロング(買い)エントリーです。
なお、あくまでも参考例として紹介しているだけで、この要素だけでエントリーを決めるのはおすすめしません。
ほかの要素も加点要素に加えつつ、複数が合わさったときに初めてエントリーすることを推奨します。
安値切り下げラインの引き方

引き方は下降トレンドラインと同じです。
高値切り上げと同じく補助的なラインとなります。
上のFXチャート画像ではそこそこ意識されているラインですが、加点要素としては弱いです。
これだけでエントリーするのは危険と言えるでしょう。
FXのトレンドラインを引いてくれる自動ツール

インジケータ
- Auto TrendLinien
- Trendlines Day
- GhaniFX_Auto Trend Lines
- Broken Trends
など
どれも無料で利用できるため、とりあえずFXチャートにセットして使い心地を試してみましょう。
【パソコン版MT4/MT5】インジケータのセット方法
ここではMoving Average(MA/移動平均線)インジケータの導入する時の手順を解説します。
- MT4/MT5を起動
- インジケータをセットしたい銘柄のチャートを開く(アクティブにする)
- メニューにある「挿入」をクリック
- 「インディケータ」⇒「トレンド」⇒「Moving Average」をクリック
- パラメータなどを設定・変更する
- OKボタンをクリックでセット完了
MAの場合は、期間を「5/20/50/100/200/600」のどれかに設定する方が多い印象です。
(編集部では20に設定しています)
なお、「インディケータ」を開くと標準搭載されているインジケータがたくさんあります。
すべて無料で使えますので、とりあえずセットして確認してみてください。
インジケータの削除方法
不要なら、チャート上でインジケータが表示しているラインやエリアを右クリックすると表示されるメニューに「分析ツールを削除」があるためクリックしましょう。
アプリ
トレンドラインを引くためのアプリはありません。
ですが、MT4やMT5のように描写可能なトレードアプリはたくさんあります。
国内FX業者は独自アプリをリリースしていることが多く描画ツールも備わっています。
描画ツールが充実している国内FX業者アプリ
- みんなのFX
- LIGHT FX
- サクソバンク証券
- IG証券
- GMOクリック証券
- 外為どっとコム
- DMM FX
- オアンダ・ジャパン
入金しなくても口座開設していれば無料で使えますので、まずはインストールして触ってみてください。
トレンドラインとチャネルライン

チャネルラインの引き方
- 上昇(下降)トレンドラインを引く
- そのラインをコピーする
- 起点の次の波の高値(または安値)を始点にしてセットする
上の画像は上昇中のFXチャートでの事例ですが、チャネルラインとはトレンドラインと平行になるようにコピーした線のことを言います。
スマホアプル版取引ツールでは少し面倒ですが、パソコン版なら「ctrl」キーを押しながらドラッグ&ドロップで簡単にコピー可能です。
使いやすさの面からも、FXチャートを分析するならパソコン版をおすすめします。
水平線と斜めのトレンドラインはどっちがいい?

どちらもエントリーポイントを決めるときの加点要素として使います。
どちらに優位性があるのか?はそのときどきで変わってきますし、どっちがいいとは言い切れません。
強いて言うなら、より意識されている方が優位性は高いでしょう。
チャートのロウソク足が水平線ラインで何度も意識されているようなら、水平線ラインで反応する可能性が高くなります。
逆に斜めのトレンドラインが意識されているなら同様です。
また、水平線ラインだけを使ったトレード手法を探しているなら、まずはトレンドラインを引かずに検証していくべきですし、逆も然り。
自分ルールとの兼ね合いにもよります。
とはいえ、基本的には両方ともチャート分析で使うことをおすすめします。
水平線ラインの引き方
トレンドラインと同じくチャート上の目立つ最安値や最高値を起点に引くことが多いです。
また、ドル円なら100.00円、100.50円、101.00円など区切りとなる価格も意識されやすいため目安として引くトレーダーもいます。
そのほか最高値・最安値や区切りの価格ではないものの、よく反発している意識されている価格帯にも引くことがあります。
トレンドラインの太さや色の変更方法
パソコン版MT4での変更方法
- チャートにラインを引く
- ライン上で右クリック
- 「Trendlineプロパティ...」をクリック
- スタイル欄で変更する
- 「OK」ボタンを押す
まずは取引ツールのチャート上に直線を引きましょう。
引いた直線の上で右クリックしてください。
すると、トレンドラインオブジェクトのメニューウィンドウが表示されます。

メニュー1番上にある「Trendlineプロパティ...」をクリックしてください。
すると、プロパティウィンドウが表示されます。

プロパティウィンドウが表示されたら3つあるタブから「全般」を開きましょう。
上から「名前」「説明」とあり、その次に「スタイル」欄があります。
ここで線の色、線の種類(点線など)、線の太さを変更できます。
設定が終わったら、「OK」ボタンを押して確定しましょう。
これで変更完了です。
スマホ版MT4アプリでの変更方法
- まずはチャート画面でラインを引く
- 引いたライン上を長押してメニューを開く
- メニューの「設定」をタップ
- 「スタイル:」をタップ
- 好きな色をタップ
- 画面右上にある「保存」をタップ
- 画面右上にある「完了」をタップ
スマホアプリ版MT4でのラインの引き方はこちらの解説をご覧ください。
初心者向け!練習におすすめのFX業者
初心者向けのおすすめ業者は、海外FXの「XMトレーディング」です。
ラインを引くだけならどの業者でも大差ありません。
しかし、XMは無料で学べる学習ツールやサービスが充実しています。
- 無料ウェビナー
- 無料計算ツール
- デモ口座
など
ウェブ上でホームページやブログで解説しているところは多いのですが、セミナー動画を見られるようにしているところはここくらいです。
それらも活用しつつ、トレンドラインを引いて自分ルールを作り上げていきましょう。
FXのトレンドラインに関するQ&A
まとめ
FXチャートのトレンドラインの引き方と種類を紹介しました。
最初は難しく感じるかもしれませんが、安値と高値を見つけて結ぶだけです。
水平ラインであれば、目立つ高値・安値、区切りの価格、反発が多い価格を見つけて引きましょう。
まずは引ける部分は全部引いて、どのラインが意識されているのか?を見つける練習からしていくことをおすすめします。