
・ナンピンとはどんな手法?
・なぜ危険と言われる?
・初心者でも使っていい?



ナンピンは平均取得価格を改善できますが、損失中のポジションを増やす危険な手法です。初心者にはおすすめしません。
- 【結論】相場が逆行したときに同じ方向へ追加注文し平均取得価格を有利にする手法
- 【おすすめ】使うなら追加回数・合計ロット・損切り価格を最初の注文前に固定する
- 【メリット】少しの値戻りでも全ポジションを建値または利益で決済しやすくなる
- 【注意点】強いトレンド時は含み損と必要証拠金が同時に増え強制ロスカットにつながる
- ナンピンの意味と平均取得価格の計算方法
- ナンピンする条件と損切りルール
- マーチンゲール・ピラミッディングとの違い
- ナンピンで失敗したときの対処法
ナンピンは、FXに限らず株式や先物取引でも使われる注文方法です。
平均取得価格を改善できる一方、予想が外れている方向へポジションを増やすため、撤退ルールがなければ損失も急増します。
私もFXトレードを始めた初期、ナンピンという言葉こそ知りませんでしたがビギナーズラックで大勝ちできていたとき必ずナンピンしていました。
「簡単に勝てるじゃん。FXチョロっ笑」
と、調子に乗っていたものです…。
(若気の至り)
そんなナンピン手法ですが、ネットを眺めていると「勝てる必勝法」「最強」なんて言葉も見かけます。でも、損切りしないナンピンは小さな利益を積み重ねたあと、一度のトレンドで資金を大きく失う典型的なコツコツドカンです。
でも、本当にそうなのでしょうか。
そこでここでは、ナンピンの意味と計算方法、実際に使う場合の条件、損切り、メリット・デメリットまで具体的に解説します。
FXのナンピンとは?どんな手法?
ナンピンとは?


「ナンピン」とは、最初の注文から相場が逆行したときに、同じ方向のポジションを追加する手法です。
FXの為替相場では価格が常に上下して波のような動きをしています↓


一定の範囲を往復するレンジ相場もあれば、一方向へ大きく動き続けるトレンド相場もあります。
ナンピンは値戻りを前提とする手法のため、レンジ相場で機能しやすい反面、トレンド相場では損失が急増します。
たとえば、価格が下降中の相場でそろそろ上方向に上がると判断したら買い注文(ロングともいう)を入れます。
(取引ツール上ではBUYと表示されています)
でも、思惑通りにいかずさらに下落してしまったら、そこでまた1ポジション買い注文を入れます。
このように、相場が逆行したときにポジションを追加することを「ナンピン」、これを主にしたトレードスタイルを「ナンピン手法」といいます。
価格が戻れば平均取得価格付近でまとめて決済できますが、戻る時期や値幅は事前にわかりません。
ナンピンで追加したポジションと最初のポジションを合算し、全体の損益がプラスになった時点で決済すれば利益になります。
ただし、逆行したという理由だけで追加するのは危険です。レンジの上限・下限、最大追加回数、撤退価格まで決めて初めて運用できます。
なぜナンピンするのか?
ナンピンをする理由は、平均取得価格を現在価格へ近づけ、少ない値戻りで決済できるようにするためです。
たとえば、
- 150円で1回買った
- 149円でさらに1回買った
このケースでは、平均の買い価格は149.5円になります。
すると最初の150円まで戻らなくても、149.5円を超えれば全体では利益や建値に近づきやすくなるわけですね。
つまりナンピンは「少しの値戻りで全ポジションを決済できるようにする」方法です。ただし、平均取得価格が改善する代わりに、総ロットと含み損は増えます。
ナンピン手法は最強?使えばFXで勝てる?


インターネット上では、ナンピン手法を最強といっている声も見かけます。
ナンピンは最強の手法ではなく、損切りルールがなければ一度のトレンドで大きな損失を出します。
レンジ相場では利益を出しやすく見えますが、レンジがいつ終わるかを正確に予測することはできません。連勝が続いても、含み損を抱えたまま追加注文を続ければ必要証拠金と損失額は膨らみます。短期間の勝率だけで評価せず、最大ドローダウンと最悪時の損失額まで確認しなければいけません。
でも、急変動がいつ起こるのか?いつ始まるのか?は誰にもわかりません。機関投資家などによる突発的な大口取引や、自然災害・戦争などが起これば急変します。予想が外れたときのために、最初の注文前に損切り価格を決めておく必要があります。
ですが、ナンピン手法は注文する数が多くなりやすいですし、ポジションが増えればそれに合わせて損切り価格も変更しなければいけません。
FX自動売買(EA)のようにツール側で自動的に対処してくれるスタイルなら良いのですが、裁量トレードでは非常に面倒です。



私もナンピンで何度も助かった経験もありますが、その成功体験が次の追加注文を正当化してしまいます。使うなら「最大3回・合計0.04ロット・この価格で全決済」のように、回数だけでなく総ロットと撤退価格まで先に固定してください。
FXのナンピン手法の例
USDJPY1ドル=110円で買い注文したときのナンピン事例
1ドル110円で買いポジションを取った時、1円分円高(売り方向)が進むと1円の損失です。
そのまま1ドル=100円まで円高が進行すれば、損失は10円まで膨らみます。
その後、再び1ドル110円まで円安方向(買い方向)に戻ったら、損益はプラスマイナスゼロとなります。
そこで、1ドル100円まで円高が進行して損失が出ているときに、追加でUSDJPY買いポジションを注文(ナンピン)するとどうなるのでしょうか。
- 1ポジション目・・・・・・・・・プラマイ0円
- 2ポジション目(ナンピン分)・・プラス10円
合計プラス10円
結果はプラス10円です。
この事例では、きっちり元の価格110円に戻るまでの計算ですが、半分の105円の時点で両方のポジションを決済しても収益はイーブンとなります。
最初の買いポジションで予測が大きく外れているだけに、トントンで撤退するのも1つの方法です。
このようにナンピンすると平均取得価格が下がり、元の110円まで戻らなくても105円で全体を建値決済できます。
もちろん、うまくいかなければマイナスが大きくなります。
ただし、105円まで戻らず下落が続けば、1つ目と2つ目の両方で含み損が増えます。追加注文を続けるのではなく、事前に決めた損切り価格で撤退します。
ナンピンの計算方法
平均取得価格 = Σ(約定価格×ロット数)÷ 合計ロット数
USDJPY(米ドル日本円)でトレードしたケースで考えてみましょう。
たとえば、1ドル=100円で1ロット買い注文、1ドル=105円で2ロット買い注文した場合、次のようになります。
(100円×1ロット+105円×2ロット)÷3ロット=103.333…
1ロットあたり103.333…で購入したことになります。
ここまでは簡単なやり方を紹介しましたが、次からはもう少し具体的に解説していきます。
FXトレードにおけるナンピン手法のやり方


ナンピンは相場が逆行したときに同じ方向へ追加注文しますが、注文前に追加条件と撤退条件を決めることが前提です。
とくに難しいものではありません。
ただし、追加注文するタイミングしだいで、最悪の場合トレード資金を失う結果に繋がります。
追加注文を始めてから判断すると、損失を取り返したい気持ちに引っ張られます。最初の注文前に次の4項目を決めてください。
- ナンピンする価格または値幅
- 追加1回あたりのロット数
- 追加できる最大回数と合計ロット数
- 全ポジションを損切りする価格
ナンピンするタイミングは?


ナンピンするタイミングは、固定の値幅ではなく、事前に分析したレンジ内の支持線・抵抗線を基準に決めます。
pips(ピプス/ピップス/ピップ)とはFXトレードにおいて値動きの単位のこと。
USDJPY(ドル円)では、通常1pips=0.01円です。
たとえば50pips間隔なら、0.50円逆行するごとに追加する計算です。
ただし、適切な間隔は通貨ペア・時間足・相場の変動幅によって変わります。
10pipsごとの機械的な追加は、短時間でポジションが積み上がるためおすすめしません。
値幅だけでなく、レンジを明確に抜けたら追加せず全決済する価格も同時に決めます。
相場がいつ戻るかはわからず、あなたの資金と注文ロット数で耐えられる範囲内に収まる保証もありません。
影響力の大きな経済イベントが起これば、3円(300pips)くらい簡単に動いてしまいます。
過去の小さな値動きだけを基準にすると、急変時に想定を超えます。損切り価格まで動いた場合の合計損失額を先に計算し、許容額を超えるならロット数または追加回数を減らしてください。
たとえば、USDJPY1ドル=100円のとき買い注文し、50pips逆行したら0.01ロットでナンピンし、最大6つポジションを持つと決めたとします。
その時は、次のような感じで注文することになるでしょう。
- 最初のポジション・・ 1ドル=100円:0.01ロット
- ナンピン1つ目 ・・・1ドル=99.5円:0.01ロット
- ナンピン2つ目 ・・・1ドル=99.0円:0.01ロット
- ナンピン3つ目 ・・・1ドル=98.5円:0.01ロット
- ナンピン4つ目 ・・・1ドル=98.0円:0.01ロット
- ナンピン5つ目 ・・・1ドル=97.5円:0.01ロット
相場が300pips逆行したとき6つのポジション&合計0.06ロット分保有した状態になります。
この例ではロットを固定しています。追加するたびにロットを増やすマーチンゲール法は、含み損と必要証拠金がさらに速く増えるため避けてください。
経済指標、金融政策、地政学リスクなどをきっかけに、一方向へ大きく動くことがあります。
「これだけ逆行すれば戻る」と考えて追加するのではなく、レンジを抜けた時点でシナリオが崩れたと判断します。
長期トレンドでは、数円から数十円規模の値動きになることもあり、損切りしないナンピンでは耐えられません。
相場環境にかかわらず、損切りできない人や資金管理に慣れていない初心者にはナンピンをおすすめしません。
使う場合はレンジ相場に限定し、レンジを抜けたら追加を止めて全ポジションを決済します。
「50pipsなら安全」「100pipsなら安全」という固定の正解はありません。値幅は直近のボラティリティと支持線・抵抗線に合わせ、最大損失額から逆算してください。
最初のポジションを注文するタイミングは?


最初の注文は、レンジ相場の下限付近で買う、または上限付近で売るのが基本です。
資金が多くても無制限には追加できません。合計ロットが増えれば、わずかな値動きでも損益が大きく変動します。
でも、ほとんどの方はそうではないでしょう。
トレンドが発生している相場なら、そもそも注文しないことをおすすめします。
一度にFXでポジションを取ってしまうと、トレーダーができる行動はそのポジションを決済するか持ち続けるかの2択のみ。
1ロットのポジションがあるなら0.5ロットだけ決済する、といった精算方法もありますが、基本は2択です。
「やっぱり注文取消しで」なんてことはできません。
そんなことができたらみんな儲かってしまいますからね…。
レンジの価格帯を明確に抜けたらナンピンを中止し、事前に決めた価格で全ポジションを損切りします。
理想はナンピンせず最初に注文したポジションだけで勝つこと。
FXは上がるか下がるかの二択でも、方向ごとの確率や損益が単純に50%ずつになるわけではありません。
そこでその確率を上げるためにほかのFXトレーダーが反応するポイントを多く身につけることが大事です。
チャートの波の高値(安値)部分を結んだ上昇・下降ラインを引いてみる、MA(MovingAverage/移動平均線)といった取引ツールに搭載されているインジケータを使う、などでチャートの反応する部分を見つけていきましょう。
チャート分析の例


これは2022/8/27のUSDJPY4時間足チャートの分析例です。
波の中で目立つ高値と高値、安値と安値を結んだラインとMAというインジケータを使っています。
分析方法はさまざまですが、ナンピンでは「どこで反発を狙うか」より「どこを抜けたら予想が外れたと判断するか」が重要です。
画像のように水平線や移動平均線を使う場合も、反発候補と撤退価格をセットで決めてください。
とりあえず、最初はこれくらいで十分でしょう。
このチャートで引いたラインの中で、「意識されている⇒」とある緑色の丸印がしてあるポイントは非常に意識されているのがわかります。
さらに、緑色の丸の下で長期MA(赤いライン)を短期MA(黄色いライン)が上にブレイクしています。
上方向への力が強くなっていると判断できます。
トレード手法によりますが、こういったポイントで反発する可能性が高いことから、1つのエントリーポイントとして使うのもありでしょう。
ナンピンの両建て手法


両建てナンピンも必勝法ではなく、損失を確定せず固定しているだけです。
どんな手法なんでしょうか。
まず、両建てとは同じ銘柄で売りと買いの両方のポジションを保有することです。
USDJPY(1ドル=110円)時のナンピン両建て手法の例
- 注文単位は1ロット固定
- 100pipsの変動ごとにナンピン
- 通貨単位は1万通貨(1円が1万円分)
- 取引銘柄はUSDJPY(米ドル/日本円)
細かなルールはトレーダーによりますが、たとえば、USDJPYで1ドル110円の時に最初のポジションを1ロット売り注文したとします。
- 110円の売り×1・・・1ロット
その後111円に逆行したなら、111円のときに買いで1ロット注文します。
- 110円の売り×1・・・1ロット(-10000円)
- 111円の買い×1・・・1ロット(0円)
この時点で1円の値動き(=100pips)分の含み損(-10000円)が出ています。売りと買いが同ロットなら、その後の価格変動による合計損益はおおむね固定されますが、スプレッドやスワップなどのコストは残ります。
ここまでならただの両建てです。
ただし、ナンピンの両建て手法ではさらに買いと同時に売りポジションも1ロット注文します。
- 110円の売り×1・・・1ロット(-10000円)
- 111円の買い×1・・・1ロット(0円)
- 111円の売り×1・・・1ロット(0円)
ここでさらに100pips上昇してしまい、1ドル=112円になったとします。
そこで、さらに売りと買いを1ロットずつ注文します。
- 110円の売り×1・・・1ロット(-20000円)
- 111円の買い×1・・・1ロット(+10000円)
- 111円の売り×1・・・1ロット(-10000円)
- 112円の買い×1・・・1ロット(0円)
- 112円の売り×1・・・1ロット(0円)
このように両建てでナンピンしていくわけですね。
ここでは100pipsごとに固定でナンピンポジションを追加していますが、チャート上の目立つポイントを目安にすることもあります。
レンジ相場を想定していても、そのまま上昇トレンドへ移行することはあります。
適度なところまで上がったら買いポジションを精算します。
では、さらに100pips上昇して1ドル113円になったとしましょう。
- 110円の売り×1・・・1ロット(-30000円)
- 111円の買い×1・・・1ロット(+20000円)
- 111円の売り×1・・・1ロット(-20000円)
- 112円の買い×1・・・1ロット(+10000円)
- 112円の売り×1・・・1ロット(-10000円)
- 113円の買い×1・・・1ロット(0円)
- 113円の売り×1・・・1ロット(0円)
さらに上昇して1ドル=114円になったとします。
- 110円の売り×1・・・1ロット(-40000円)
- 111円の買い×1・・・1ロット(+30000円)
- 111円の売り×1・・・1ロット(-30000円)
- 112円の買い×1・・・1ロット(+20000円)
- 112円の売り×1・・・1ロット(-20000円)
- 113円の買い×1・・・1ロット(+10000円)
- 113円の売り×1・・・1ロット(-10000円)
ここらで相殺決済していきます。
相殺決済とはプラス分とマイナス分のポジションを同時に精算すること。
そして、基本的に最も損失の大きなポジションとそれを上回るポジションを精算します。
このケースなら次のようになります。
- 110円の売り×1・・・1ロット(-40000円)
- 111円の買い×1・・・1ロット(+30000円)
- 112円の買い×1・・・1ロット(+20000円)
合計+10000円
- 111円の売り×1・・・1ロット(-30000円)
- 112円の売り×1・・・1ロット(-20000円)
- 113円の買い×1・・・1ロット(+10000円)
- 113円の売り×1・・・1ロット(-10000円)
合計-50000円
決済した3ポジションだけを見ると1万円の確定利益です。
ただし、残りのポジションには合計5万円の含み損があり、口座全体では4万円のマイナスです。確定利益だけを見て勝ったと判断してはいけません。
価格がスタート地点へ戻る保証はなく、さらにトレンドが続けば拘束される証拠金と保有コストも増えます。
この方法はポジション管理が複雑で、含み損の実態も見えにくくなります。初心者が損切りの代わりに使う方法としてはおすすめしません。
ナンピンとピラミッディング手法の違い
FXトレードでは、逆張り狙いのナンピンと、順張り狙いのピラミッディング手法が有名です。
2つの手法の違いは以下のとおりです。
ナンピンは含み損の方向へ追加し、ピラミッディングは含み益が出ている方向へ追加する点が違います。
狙いどころが全く違うため、同時に使うことはまずないでしょう。
ナンピン中に反対方向の順張りを加えると、複数の戦略が混在して管理が難しくなります。損失を別の注文で取り返そうとせず、元のシナリオが崩れた時点で決済するほうが明確です。
と、言うだけであれば簡単ですが、実際のところ勝つのは簡単ではありません…。
単純に、逆張りと順張り手法を習得するためには倍の時間がかかるため、どちらか1つに絞ることをおすすめします。
ナンピンとマーチンゲール法を組み合わせたナンピンマーチン手法
「ナンピンマーチン」などと呼ばれることもあるナンピン手法の1つ。
ナンピンマーチンとは、相場が逆行するたびに追加ポジションのロット数を増やす手法です。
ギャンブルで使われる賭け金コントロール方法のことで、そのゲームで負けたら次のゲームで倍額ベットしていく手法です。仰々しいネーミングが付いていますが仕組みは単純です。
追加ロットを増やすほど平均取得価格は現在価格へ近づきますが、反転しなければ損失と必要証拠金が急増します。
FXでは必ずしも倍々にせず、0.01+0.01+0.02+0.02ロットのように少しずつ増やすパターンもありますが、固定ロットのナンピンよりハイリスクです。
なお、ナンピンマーチン式はEA(FX自動売買ツール)のロジックとして使われることも多いです。
ここまでナンピン手法の使い方を解説してきました。
ナンピン手法に関しては、肯定的な声もあれば否定的な声もあります。
平均取得価格を改善できる一方、含み損が出ている方向へポジションを増やすという明確な弱点があります。
ちなみに、平均取得単価を下げる方法に「ドルコスト平均法」というものがあります。
勘違いされることもあるため、ナンピン手法とドルコスト平均法の違いについて解説しておきます。
ナンピンとドルコスト平均法の違い


ナンピンとは違う手法なんですが、同じものと勘違いされやすい手法に「ドルコスト平均法」があります。
ドルコスト平均法は一定の金額を一定間隔で購入し、ナンピンは価格が不利な方向へ動いたことを条件に追加します。
たとえば、株式投資なら毎月1日に同じ銘柄を10万円分買い続ける、といった買い方になります。株価がどれだけ変動しても追加で買うのは10万円だけ。高ければ購入数が減り、安ければ増えます。
トータルで見れば平均価格で買えているという手法ですね。
ナンピンは同じロットで追加する場合もあれば、ロットを増やす場合もあります。ドルコスト平均法との違いは、追加する条件と主な運用期間です。
ドルコスト平均法は長期の積立投資で使われるのに対し、FXのナンピンは含み損が出た短期・中期ポジションの平均取得価格を調整する目的で使われます。
ナンピン手法の方がリスクは高め
ドルコスト平均法よりリスクが高いナンピン手法。
ドルコスト平均法は購入金額を一定にするため、価格が高いと購入数量が少なくなり、安いと多くなります。
対してナンピンは、価格の逆行を見て同方向のポジションを追加します。レバレッジを使うFXでは、合計ロットが増えるほど強制ロスカットの危険も高まります。
相場が反転してくれれば利益も大きくなりますが、反転しなかった時は損失が大きくなってしまいます。
FXのナンピン時の資金管理
ポジションを損切りするタイミングは?
ナンピンの損切りは、全ポジションの合計損失が口座残高の2%に達する価格を目安にします。
口座残高100万円なら、1回のナンピン一式で許容する損失は2万円が目安です。最大5%まで広げると、連敗時の回復が難しくなるため初心者にはおすすめしません。
重要なのは、含み損が2%になってから考えるのではなく、最初の注文前に2%へ達する価格と各注文のロット数を計算することです。



私の場合も、ナンピンを始めてから損切り位置を考えた取引はほぼ失敗しました。撤退価格を先に注文できないなら、最初からナンピンしないほうがいいです。
もちろん精神的負担はありますし、悔しいことは間違いありませんが…。
レンジを抜けて撤退価格へ到達したら、相場が戻ることを期待せず全ポジションを決済します。
損失は受け入れがたいものですが、深追いしてさらにナンピンすれば損失が大きくなり再開が難しくなる可能性もでてきます。
損切り後にすぐ入り直さず、相場環境を再確認してから仕切り直しましょう。
早めの損切りを決断していきましょう。
損切りしないナンピン手法はある?
損切りしないナンピンはおすすめしません。
反対ポジションを持つ両建てで含み損を固定する方法もありますが、損失が消えるわけではなく、解除する判断も必要です。
損切りを先送りすると、証拠金が長期間拘束され、別の取引機会も失います。
ただし、トレンドが長期間続く可能性もありますし、1日ごとにスワップ(金利差)が積み重なっていきます。
プラススワップ側でも相場の逆行による損失は増えるため、スワップの方向にかかわらず撤退ルールを守ってください。
ナンピン手法のFX自動売買ツール(EA)は稼げる?
FX自動売買ツール(EA)とは、24時間自動的に売買を繰り返してくれるツールのこと。
多種多様なツールがリリースされていて、それぞれ違ったロジックでトレードしています。
その中でも、ナンピン手法を取り入れたEAは多いです。
ナンピン式自動売買ツールはおすすめしません
最大ポジション数と損切り条件がないナンピンEAはおすすめしません。
私もいくつか試してきましたが、損切り機能のないEAで何度も資金を失いました。
過去の右肩上がりの成績だけではなく、最大ドローダウン、最大保有数、ロット倍率、損切り条件を確認する必要があります。
ナンピンEAは利益を小刻みに積み上げやすい反面、一方向の相場で大きな含み損を抱えます。
原資を出金すれば口座内の損失額は限定できますが、EA自体の破綻リスクがなくなるわけではありません。
販売ページの月利や勝率だけで判断せず、含み損を抱えているポジションを成績から除外していないかも確認してください。
数年前までの為替相場なら割と穏やかだったため、相場が急落・急騰したタイミングで逆張りエントリーしそこから10pips逆行するごとにナンピンしていくEAが多かったですね。
そしてその頃のEAは、単純なナンピン式でもそこそこ稼げました。
相場環境が変われば、過去に機能した設定が通用しなくなります。
バックテストだけでなく、直近相場のフォワード成績と最悪時の損失額まで見て判断しましょう。
EAを使うなら、損切り機能があり、最大保有数と合計ロットが明示されたものを選び、許容損失の範囲内で運用してください。
ナンピン手法のメリットとデメリット
ナンピン手法のメリット
ナンピンのメリットは、平均取得価格を現在価格へ近づけ、少ない値戻りで決済できることです。
レンジ内で反転すれば、最初の注文価格まで戻らなくても、全ポジションを建値または利益で決済できます。
ただし、勝率が高く見えても損失額まで小さいとは限りません。メリットは平均取得価格の改善であり、勝率の保証ではありません。
ナンピン手法のデメリット
ナンピンのデメリットは、予想が外れている方向へポジションを増やし、含み損と必要証拠金を拡大させることです。
となると、損切りできない人は資金を失う可能性が高くなるでしょう。
とくにナンピンマーチン式でトレードしていると、よりハイリスクになります。
追加回数と損切りに上限がなければ、強いトレンドが発生したときにロスカットされます。
ほかにも、ピンチをナンピンで切り抜けてしまった場合(あえてこの言い方)、よくない成功体験を積んでしまう可能性も…。
次もこれで行ける、と勘違いしてしまう人も出てきます。
そうなるとコツコツドカンになりやすいため、過去の連勝より最大損失を重視してください。
ナンピン手法が失敗したときの対処法


予想では相場が戻ると思ってナンピンしたものの、一向に戻らず証拠金維持率が低下することがあります。
そんな経験をしたことがある方も多いでしょう。
この状態では、さらにナンピンする余力もないため攻めの姿勢はとれません。
そして、たいてい切り抜けられず溶けてしまうパターンですね。
私も何度か経験しました。
では、ナンピンで失敗してしまった時どうすればいいのでしょうか。
ナンピン失敗時にやれること
ナンピンに失敗したときの基本対応は、追加注文を止めて全ポジションを損切りすることです。
- 追加注文を止めて全ポジションを損切りする
- 両建ては損失を固定する緊急対応と理解する
- 相場が戻ることを期待して放置しない
追加注文を止めて損切りする
編集部では、これを基本対応としておすすめします。
ナンピンしてハマると長い時間ストレスを受け続けることになります。
副業として取り組んでいるなら本業に悪影響も出てきますし、家族がいるならイライラからあたりが強くなって関係悪化する可能性も出てくるでしょう。
含み損が許容額を超えた時点で決済すれば、口座残高を残して次の取引へ進めます。ロスカットまで我慢すると、再スタートが難しい残高しか残りません。
損切りしたほうが軽傷で済ませられることが多いです。
両建てで凌ぐ
両建ての可否や禁止範囲はFX業者の取引規約によって異なります。
そこで、現在保有しているポジションの総ロット数と証拠金維持率に応じて買い注文を持っているなら反対方向の売りで、売りなら反対の買い注文をします。
たとえば総保有ロット数と同じ数量を逆方向へ注文すると、価格変動による合計損益はおおむね固定されます。ただし、スプレッドやスワップなどのコストは発生します。
もちろん含み益にもなりませんが、時間に余裕が生まれるためしばらく様子見することはできるでしょう。
一度両建てすると解除の判断が難しく、損失そのものも消えません。両建てを損切りの代わりとして常用することはおすすめしません。
相場が戻ることを期待して放置しない
対処法でも何でもありませんね…。
私自身は1度だけ助かったこともありますが、それ以外は全部ロスカットされました。
運を天に任せて放置するのは対処法ではありません。強制ロスカット前に決済し、残った資金を守りましょう。
国内FXでは、急変時に口座残高を超える損失が発生すると、不足金の入金を求められる場合があります。
ゼロカットを採用する海外FX業者では、規約に沿って適用されれば口座残高を超えるマイナスが補填されます。ただし、入金した取引資金を失うリスクは残ります。
FXのナンピンに関するよくある質問
まとめ
FXトレードでもよく使われる手法「ナンピン」について解説しました。
ナンピンは平均取得価格を改善できますが、初心者や損切りできない人にはおすすめしません。
どんなに優れたトレーダーでも、エントリーしたポジションが必ず予想した方向へ動くことはありません。
価格が戻れば少ない値幅で決済できる一方、一方向へ動き続けると複数ポジションの損失が同時に増えます。
使う場合は、最初の注文前にナンピンする価格、1回のロット数、最大追加回数、全ポジションの損切り価格を決めてください。
レンジ相場を想定していても、経済指標や金融政策をきっかけにトレンドへ変わります。レンジを抜けたら追加を止め、予定どおり損切りします。
ナンピンで一度助かった成功体験に頼らず、1回の取引で失う金額を口座残高の2%以内に抑えることを優先しましょう。





